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(4)流暢推定法構築
乱流モデル、格子生成法、NSコード、Post処理法の改良を実施、多種類の船型へ応用し、全体的にまとめて流暢推定法を構築した。
(a)乱流モデル:乱流計測結果を基にチューニングを行い、3次元影響や圧力勾配影響を考慮した強制減衰・圧力勾配修正付BLモデルを開発。船体抵抗、圧力分布、船尾渦、伴流分布等の推定精度が格段に向上した。
(b)格子生成法:船首・船尾バルブを持つ肥大船型に適用できる実用的生成コード開発。(c)Post処理法:船舶設計情報としてのCG表示を研究し作成した。
(5)評価
・基礎流場推定法を多種類の肥大船型(船尾肋骨線シリーズ船型、スターンバルブ船型、超肥大船型)に応用して適応性検討を行い、船体周囲流場、圧力分布、伴流分布、公称伴流値、粘性抵抗とその成分等の計算結果を実験結果と比較し、推定精度と船型追従性を確認した。また、今後の応用にあたっての留意すべき点(格子依存性など)を抽出した。
・所期の目標であった船尾粘性流場に関する実用的推定法を構築することが出来た。

 

1.2造波粘性流場推定法
・肥大船の造る波は非線形性が強く、船尾粘性流場にも影響を与える。船尾流場や造波抵抗の推定精度向上のためには自由表面を考慮した粘性流場推定法の開発が必要である。基礎粘性流場推定法を基盤として4つの計算コード(NICE,WISDAM−V,WISDAM−VI,FRESH)について流場推定法の開発を行った。
・肥大線型にこれらの計算法を適用し、計測した波紋と比較、NSコードと格子生成法の両面から繰り返し計算コードの改良を行った。
・応用計算として、多種類の肥大船の船体周囲の波紋、船側波形、全抵抗とその成分について検証を行い、満足する結果を得た。
・従来、計算が不可能であった肥大船の造波粘性流場の計算法を開発することができた。しかし、水面近傍の格子が造波の影響を受けることがあり、格子依存性などの検討が残される。満載状態については計算実績を増やし幅広い適応性検討と評価を加えながら実用化に向けて改良を加える必要がある。バラスト状態については開発課題が残されている。

 

1.3自航時粘性流場推定法
・船尾粘性流場は自航性能とも密接な関係があるので肥大船の性能予測のためにはプロペラ作動時の船尾粘性流を精度良く推定する必要があるが、高精度計算法がなかった。
・基礎粘性流場推定法に無限翼数理論による流体力をBodyForceとして組み込んだ自航時粘性流場推定法を開発、肥大船型について適応性計算を行い、推定法を構築した。
・多種類の船型に応用して実験結果との検証を行い、自航時の船尾粘性流場特性が精度良く推定できること、船型改良の指針として役立つことが分かった。
・今後、さらに計算実績を増やし、定量的精度を向上させるための改良を加える事により有効なツールとなることが明らかにされた。

 

 

 

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